授業概要
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どんな時代にも一定の支配的思想があるが、昨今の政治経済・社会福祉・教育(大学含む)等に関する「構造改革」的政策とこれらの受容の底には、新自由主義(ネオリベラリズムもしくはリバタリアニズム)と総称しうる支配的思想がある。この授業では、世間では単純な市場至上主義だと誤解されている新自由主義の真の姿と問題点とを、この支配的思想の領袖であり続けるハイエクに遡り、更にはノージックなどの20世紀後半の思想も勘案して論じる。比較検討を行うために、時間的制約が許すかぎり、市場の思想や資本主義論の基礎、18世紀の古典近代の自由主義・民主主義・社会主義、19世紀後半以降の社会的自由主義などにも「脱線」して現代に至る思想史の大筋にもふれるが、頭の酷使が必要な授業にはなろう。各人が自らの視点を、社会全体を眺瞰しうる程に高く位置づけることと、自らの心情を抉りうる程に内面化することとが非常に近い作業になる時代だ、という時代感覚を大切にする授業にもしたい、と考えている。
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到達目標
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テキスト及び資料の正確な解読を通じて、思想史的内容と現実世界の動向とを総合して捉える能力を涵養しつつ、捉えた内容についての価値判断を根拠を挙げて提示できる能力を身につけることを目標とする。
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授業計画と 準備学習
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基本テキスト(教科書)として拙著『新自由主義の嘘』(岩波書店、生協で購入のこと)及び、拙稿「新自由主義思想は史上最大の不平等主義」(名古屋哲学研究会編『哲学と現代』第18号所収、これは竹内がコピーして配布)を使い、基本的にこれらテキストの順序に従って話を進める中で、上記の「脱線」もして講義を行なうが、受講者数により講義の形態や進行・講義計画は変える予定である。暫定的な講義計画でもある下記の(1)~(5)は、受講生諸君には、むしろ講義全体の柱として受けとってもらった方がよいと思う。 @時間節約のためあまり板書はしない。受講者は考えてノートを取る必要があろう。内容上繋がる教養科目である「西洋哲学Ⅱ(後学期:竹内担当)」も履修すると、よいかもしれない。 (1)新自由主義と不平等主義との関連(1~2週) (2)私的所有論全般と自由主義及び市民法(権)における不平等主義(3~4週) (3)社会的自由主義における社会法(権)的発想とその平等主義的傾向(5~7週) (4)強力な国家主義を内在させた市場至上主義としての新自由主義(8~11週) (5)新福祉国家構想と平等主義の現段階、新自由主義への対抗(12~15週)
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授業の特色
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学生のアク ティブ・ラー ニングを 促す取組
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授業毎に短文を提出してもらい、その中で提示された講義に関する感想・意見・疑問に対して、次回授業時に回答(必要に応じて討論も行う)を示して、能動的学習の一翼を担うようにしたい。
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使用言語
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TA,SA配置 予定
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基盤的能力 専門的能力
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授業時間外 の学習
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成績評価
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定期試験を予定しているが、受講者数によって変わりうる。出席状況も、講義毎に提出してもらう短文による感想・意見・疑問により把握し、一定程度、成績評価に反映させる。
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到達度評価 方法
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授業毎に提出してもらう短文(20%)及び定期試験(80%)により評価する。
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テキスト
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No
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書籍名
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著者名
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出版社
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出版年
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ISBN/ISSN
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1.
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『. 『新自由主義の嘘』 』
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竹内章郎「
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岩波書店
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2011
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9784000281645
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テキスト (詳細)
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1私のもの、私的所有物、市場は当たり前? 2私的所有の世界と市場はどうなっていて、どんなルールがあるのか? 3私的所有と市場は数々の問題を引き起こす 4どんなことが公平であり公正である、と言えるか? 5権利が不公平で不公正になる場合がある 6権利はお金の流れと関連する——市民権(法)的世界と社会権(法)的世界とお金 7経済の基本的仕組みにとっても、市場の外側は重要だ 8新自由主義を、その根本から批判する 9能力が個人の私的所有物である理由 10 私的所有物としての能力は疑わしい 11「能力の共同性」ということを考えよう
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参考文献
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No
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書籍名
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著者名
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出版社
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出版年
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ISBN/ISSN
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1.
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『平等論哲学への道程』
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竹内章郎
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青木書店
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2001
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4-250-20123-6
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参考文献 (詳細)
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目次の章立てをもって代える。 第一章 平等主義にとっての自由主義 第二章 平等主義の19世紀的端緒 第三章 19世紀後半の平等主義の展開 第四章 危機に瀕している平等主義 補 章 レイによる平等論の新展開
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備考
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